事業のこと

【特集】女性たちの多様な生き方を尊重し、自分らしくあるためのヒントを発信していく

ライフステージの変化が多いアラサー世代の女性たちに向けて、“明日”がもっと楽しく、自分らしくいられるための情報を発信するファッション動画メディア「MINE」。
ウェブサイト、アプリ、公式SNSアカウントを通じて多面的なコンテンツを展開し、アラサーファッション媒体No.1リーチのメディアへと成長しています。

今回は、女性向けエンパワーメントメディア「BLAST」を立ち上げた石井リナさんと、「MINE」の運営を担う3ミニッツ岡澤による対談を実施。時代とともに多様化する女性の価値観、SNSとの付き合い方、女性向けメディアの今後など幅広いテーマについて語り合っていただきました。

石井 リナ 石井 リナ:BLAST Inc. 代表取締役社長
1990年生まれ。新卒でオプトに入社。ウェブ広告のコンサルタントを務めた後、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。その後、ベンチャー企業株式会社GENEROSITY(旧株式会社SnSnap)でBtoB向けマーケティングメディア「COMPASS」を立ち上げる。2018年に起業し、女性向けエンパワーメントメディア「BLAST」をリリース。「アドタイ」「朝日新聞デジタル」「フォーブス ジャパン」などでコラムを連載中。

岡澤 創人 岡澤 創人:株式会社3ミニッツ SNSマーケティング事業部 事業部長
2003年に大学卒業後、光文社にて「JJ」「Gainer」などの雑誌編集を担当し、ウェブサイト、ブログ、SNSの立ち上げにも携わる。その後、日本マイクロソフト、コンデナスト・ジャパン、日本ロレアルを経て、2017年に3ミニッツに参画。ファッション動画メディア「MINE」のブランディングやマーケティングを担当。フードインスタグラマーとしても活動し、複数アカウントで約8万人のフォロワーを持つ。

幸せの形はひとつじゃない

ーーはじめに、お二人が手がける女性向けメディアについて教えてください。

岡澤 :「MINE」は27~32歳の女性をターゲットに、「ファッション」「ビューティ」「ライフスタイル」「映画」「占い」の5つのカテゴリーで多様なコンテンツを配信しています。運営を行っている3ミニッツには「個を大切にする」という企業文化があるのですが、これがコンテンツにも色濃く反映されています。TVCMで掲げたタグライン「Be yourself, life is mine(人生は自分のものだ)」が示すように、「MINE」が最も大切にしているメッセージは「幸せの形はひとつじゃない」ということ。僕が女性誌の編集を始めた頃は「女性の幸せ=結婚して良い奥さんになること」でしたが、時代とともに幸せの定義は変わり、多様化が進んでいます。「MINE」では、一人ひとりにとっての幸せや答えを見つけてもらうためのヒントになるものや、個にフォーカスしたコンテンツづくりを意識しています。

石井 :「BLAST」は女性向けエンパワーメントメディアという位置づけで、社会問題やキャリアなど幅広いテーマを取り上げていますが、自分らしい生き方や多様な価値観について知ることができるコンテンツはやはり人気が高いです。IGTVで視聴数が伸びているのは恋愛・結婚・家族における多様な形や、性とセックスにフォーカスした番組です。見ている人が「押しつけがましいな」と感じないように、フラットな視点で配信するように気をつけています。あくまで「こんな価値観もあるよ」という提案にとどめておくことで、共感や理解を示してくれる方が増えています。岡澤さんがおっしゃるように、幸せの形は人それぞれ。「結婚しなくても幸せになれるこの時代に」というゼクシィのコピーのように、「自分らしく」というのが今らしく自然だと思います。

岡澤 :ユーザーの方とお話しすると、インスタグラムなどのSNSには「結婚しました」「子どもが生まれました」という“幸せ”が溢れていて、自分と比べて「あれ、私これでいいんだっけ?」と悩んでしまうというMINE世代の女性が本当に多いなと感じます。キャリアや恋愛、身体の悩みなどネガティブなことってなかなか人に話しづらいからこそ、顔も知らないSNSだけでつながっている人やメディアが発信する情報のほうが共感しやすいというのもあるんでしょうね。

石井 :「MINE」のユーザーさんはどんなタイプの女性が多いんですか?

岡澤 :結構幅広いですが、特に多いのはバリバリ働いて、仕事も恋愛も頑張っているというタイプの方ですね。ロールモデルとなる女性がいなくて将来の不安を感じつつ一生懸命やっているけれど、どこまでやればいいの?という頑張り加減や仕事と家庭のバランスをいかにとるかが難しいという世代です。

石井 :「BLAST」は“思想でつながるメディア”を目指していて、ターゲットを定めていないのですが、年齢で見ると25~34歳がコア層になっています。ただ、イベントを開くと制服を着た高校生の女の子から40代の経営者の方までさまざまな女性がいらっしゃるので、属性や年代に関わらず同じマインドを持った方が集まってくれている印象があります。

岡澤 :「MINE」も一見コンサバな方が多いのですが、深いところで共感できるメディアを探していて「MINE」にたどり着いたという方が多いですね。押しつけがましくしない、というのはとても大事なことだと思っていて、たとえばオフィス服のカジュアル化が進んでいるなかで、どこまでカジュアル寄りにしていいの?というボーダーラインって会社によって変わってきますよね。そこで「これが正解だよ」と一方的に提示するのではなく、「コンサバな会社だけど私はここまで攻めています」という一般ユーザーのリアルな声を活かしたコンテンツを紹介するという形をとっています。37万ほどの投稿が集まっているインスタグラムのハッシュタグ「#mineby3mootd」も、はじめはこちらから投稿を呼びかけたユーザーさん同士が自然と交流し始めるなど、同じ思いや熱量を持った人たちがどんどんつながっていった結果、大きなコミュニティとして成長できたのだと思います。

世の中の変化にいかに敏感なメディアでいられるか

ーー世の中にはさまざまなコンテンツが溢れていますが、「優れたコンテンツ」とはどのようなものだとお考えですか?

石井 :プラットフォームやターゲット、目的によっても評価の仕方は変わってくると思います。「BLAST」を立ち上げたきっかけの1つが、海外と日本のギャップを感じたことです。男女格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を見てみると、日本は先進国のなかでも最下位。ずっと日本で暮らしているとあまり意識することがないだけに、この事実を知ってすごく衝撃を受けました。東京大学の上野千鶴子さんにお会いした際にも「日本は男女平等だと思っていました」とお話ししたら頭を抱えられてしまったんですが、日本の女性の多くは少なからず制約されているということにすら気付いていないんですよね。こうした事実を知ってもらい、それぞれが自分らしい生き方を選択できるようにすることが「BLAST」ミッションです。ポリアモリー(複数恋愛)や精子バンクを使った妊娠・出産などについて取り上げるのも、世の中にはいろんな生き方や選択肢があることを提案するためです。

岡澤 :良いコンテンツかどうかを最終的に決めるのはユーザーですが、新たな気づきを得ることで視点が変わるとか、その人の背中を押して新しい扉を開けるきっかけになるようなコンテンツは、結果として「良いコンテンツ」といわれるものだと思います。

石井 :コンテンツやキャッチコピーなど、女性誌の編集の頃と比べて女性から支持されるもの、共感を得やすいものって変わってきていますか?

岡澤 :僕が編集者でいた頃はモテるため、お嫁さんになるための特集ばかりでしたが、リーマンショックを機に「結婚して仕事を辞めるなんてリスキーだ」という考え方が強まって、「良い旦那さん」の定義も子育てに参加してくれる、家事を手伝ってくれるなどにシフトしていますから、メディアも変化していかないと売れなくなっているというのはありますね。

石井 :最近ある女性雑誌の広告が炎上したのも、すごく象徴的な出来事でしたね。

岡澤 :ええ、時代に合わせてつくる側の意識もアップデートしていかねばならないということでしょう。一方で、人ってモテたい、好かれたいという本能的な気持ちもあるから、モテを完全否定しないというようなバランス加減が大事になってくるんだと思います。

石井 :ミレニアル世代の結婚観って二極化している印象があって、コンサバティブなタイプもいれば、これまで良しとされてきた関係性だけがすべてじゃないと考える人もたくさんいます。個人的には、夫婦別姓や選択的シングルマザーなど多様な生き方の選択肢が当たり前にあっていいし、選択しやすくなったらいいなと思います。

SNSとの幸福度の関係とは

ーーミレニアル世代の石井さんは、SNSをどのように活用していますか?

石井 :ニュースや社会問題などについて情報を集めるのはツイッターで、フェイスブックはほとんど開かないです。ファッションやメイクに関してはインスタグラムを活用しています。ツイッターはハラスメントや人種差別など胸が痛くなるような内容も流れてくるので「疲れちゃう」と距離を置いている子も結構います。

岡澤 :個人的に今日お話ししたいテーマの一つが「SNSで人は幸せになれるのか」なのですが、石井さんはどう思われますか?

石井 :ちょうどインスタグラムが「いいね」の数を非表示にするテストに同意したところなのですが、こういう動きには賛成です。キャスティングする側はエンゲージメントを見られなくなるので大変かもしれませんが、やっている本人の気持ち的には良いんじゃないかなと。他人と自分を比べたり、周囲の目を気にしたりすることってあると思います。

岡澤 :僕のプライベートなアカウントは8万人くらいフォロワーがいるのですが、食べ物だけなので投稿するプレッシャーとかは感じないんですが、それでもアンチコメントなどはあります。先日知り合いの子から「SNS全部やめました」という話を聞いたんです。人との関わりが減って楽だけど、新しい出会いもないし彼氏もできないし(笑)、どうしようみたいな新たな悩みも出てきたりしていて。SNSはメンタルヘルスに影響を及ぼしやすいのは事実ですが、ユーザーの年齢によるのかなあとかいろいろ考えています。

石井 :私はずっと他人と自分を比べずに生きてきたのですが、最近になって起業し、時価総額という目に見えるもので比べられるようになった今、そうした経済圏にいることに戸惑っていたりします。

岡澤 :そういう意味でいうと、たとえば会社員とインスタグラマーという2つの顔を持つというのは、ある意味心のバランスが取れて有効なのかもしれませんね。

石井 :確かにそうかもしれませんね。

岡澤 :あとフィルターバブルによって自分が欲しい情報がすぐに得られるようになった一方で、見たくないことを見ないままにできるというのは良いことでもあり、弊害にもなり得るので難しい問題だなと思っています。

石井 :選挙のことをつぶやいてフォロワーが一気に1000人減ったという例もありますし、ある意味分かりやすい時代なんだと思います。ミレニアル世代やZ世代たちはお互いの考えや生き方が違っても当たり前という意識が強くて、一つの仕事にこだわらず複数の肩書きを持つ「スラッシャー」も増えています。以前なら芸能人が政治について発言するなんて、という見方もありましたが今は自然なことだし、あらゆる面で一つのカテゴリーに縛られないというのは主流になりつつあるんだと思います。

従来の枠にとらわれない自分らしい生き方を追求する女性たちを応援したい

ーーSNSやメディアの使い方に関して、海外と日本のギャップを感じることはありますか?

岡澤 :2016年頃にインスタグラムのMAU(月間アクティブユーザー)が1000万人を超えた時、ある調査で日本人の52%は他人の投稿を見ているだけで自分は何も発信したり表現したりしない「見る専クラスタ」だというデータがありました。これは日本特有らしく、SNSで情報収集や発信をすることに、日本人はもっと慣れが必要なのではないかと感じています。

石井 :「BLAST」で国際女性デーに合わせてSNS投稿を促す企画をやったことがあるのですが、熱量のある投稿がたくさん集まったもののフォロワー数に換算してみると「BLAST」のコミュニティ全体のわずか3%くらいにとどまっていて。一方、福岡で起きた準強姦事件で無罪判決が下されたことを受けて性犯罪の処罰の厳罰化を求める署名運動が始まり、「BLAST」でも「協力しませんか」と呼びかけたところ約25%のフォロワーが賛同してくれました。あくまでもコミュニティ内の話ですが、自分のアカウントで声を上げることは難しいけれど、こっそりオンライン上で署名などの協力は可能という人が多いんだなと実感しました。

岡澤 :それはあると思います。だからこそすごいなと思うのが、「BLAST」はどんなニュースも堅苦しい形では取り上げていないということ。専門家やアクティイストじゃなくてもそのテーマについて考えやすいようユーザー目線で表現するってすごく大事なことだし、発言のハードルもぐっと下がりますよね。ファッションでもフェミニズムについても、いかにカジュアルに話せる仕組みをつくっていくかがメディアの役割だと思います。日本人は周囲に同調したり、反対されるくらいなら意見しないほうが良いと考えたりする人が多いですが、どんなことに対しても自分がどう思うか意見を持つことは大事です。特にミレニアル世代をはじめ若い人たちには、メディアが発信する情報を通じてそうしたトレーニングをしていってほしいなと思います。

石井 :それぞれがそれぞれにできることをすればいいと思うのですが、声を上げたい人、行動に移せる人にはどんどん動いてほしいと思いますね。もちろん陰ながら応援したいというスタンスの人もいて当然ですし、自分の意思を持って自己表現できるのが一番だと思います。

ーー今後チャレンジしたいことや、これからの女性向けメディアに期待することをお聞かせください。

岡澤 :ミレニアル世代の女性にフォーカスした「リファイナリー29」というアメリカのメディアは、女性起業家向けのオフィススペースをつくったり女性映画監督支援プロジェクトをやったりとジェンダーギャップにまつわる多様な取り組みをしています。日本ではまだほとんど知られていませんが、こうしたオンライン上のコミュニティをオフラインで実現することは僕なりの1つのゴールです。人々の意識や考え方を変え、それが社会においてサステナブルなシステムになるまで情報発信を続けていくというのが、メディアに与えられたミッションだと考えています。

石井 :雑誌も女性向けメディアもいろんなものができてはなくなり、支持されるものが残っていきますよね。個人的には、女性の自立を促しエンパワーメントに特化したコンテンツがもっと世の中に増えていくことを期待しています。

岡澤 :女性のエンパワーメントが進めば男性のエンパワーメントにもつながりますからね。石井さん、本日はありがとうございました。

石井 :ありがとうございました。

以上

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