会社のこと

【Management Voice】#02 井坂 友之「僕たちがやっているのは、一瞬の感情を揺さぶる仕事」

グリーグループの役員に、事業や個人のことなどをインタビューする本企画。第2回は、WFS代表取締役社長の井坂友之さんです!

【プロフィール】
グリー株式会社 上級執行役員 兼 株式会社WFS 代表取締役社長
井坂 友之

インターネットサービス会社を経て、2007年グリーに入社。広告、芸能メディア、ゲームプランナー、プロデューサー、新規事業立ち上げや海外支社の設立、子会社CEOなどを経て執行役員に。2020年7月より株式会社WFSの代表取締役社長に就任。

株式会社WFS
コンテンツ事業、ソリューション事業、プラットフォーム事業を中心に、「新しい驚きを、世界中の人へ。」届けるものづくりを行なっている会社。コンテンツ事業では、主にスマホアプリゲームの開発を行い、2014年に「消滅都市」をリリース。その後も「アナザーエデン 時空を超える猫」や「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか〜メモリア・フレーゼ〜」などヒットタイトルを生み出し、海外展開も積極的に行なっている。

13年間で感じるグリーの成長と変化

ーー今年7月に株式会社WFS代表取締役社長に就任されました。経営の方針をお聞かせください。

井坂:WFS社には500名以上の社員がいて事業領域も幅広いので、すべてを自分一人で見るのではなく、本部長や部長/室長たちと連携しながら役割分担と権限委譲をした「チーム経営」を行っています。

ーー井坂さんは2007年にグリーに入社されていますが、その頃のグリー社内の雰囲気は?

井坂:まだ50名もいないくらいの“ド”ベンチャーの頃で、僕を含めて皆とにかく若くてエネルギーと情熱に溢れた人たちの集まりでしたね。日々侃々諤々の議論をしながら必死に働いてました。

ーー当時のエネルギーや情熱は、今も受け継がれていますか。

井坂:表現が難しいけれど、静かに、でも確かに残っていると思います。静かな闘志みたいなものですね。自分たちでサービスをつくって世の中に出すことを大事にするのは、昔からずっと変わらないと感じていて、そのやり方や仕組みが変わってきた感じです。家族を持つ人も増えたし国籍もすごく多様なので、いろいろな人を受け入れながら、静かな情熱は大切に持ち続けていると思います。

ーーこれまで経験されてきたことはWFSの経営に活かされていますか?

井坂:そう思います。WFSはグリーと同じようにビジョンやバリューを重視していて、「この会社で働きたい」「この人たちと仕事がしたい」「一緒に新しいことをやりたい」というメンバーが集まってくれています。会社には良い時もあれば悪い時もあると分かっているからこそ、どんな時も軸やビジョンをぶらさず、ちゃんと経営を継続していこうというのはすごく意識しています。

個が強くそれぞれの色を活かせるのが真のグループ経営

ーー井坂さんが感じる、WFSらしさとは?

井坂:WFSには2014年の立ち上げ時につくられた「設立趣意」があるのですが、なぜこの会社をつくったのか、何をやりたいのかを明文化していて、それを体現しながら「新しい驚きを、世界中の人へ。」というビジョンに向かってひた走っています。設立趣意には「夢とテクノロジーと挑戦の結晶」という言葉があるのですが、ここがすごくWFSらしいです。テクノロジーをベースにしつつ、クリエイティブな発想でこれまでできなかったことを可能にする。ただそれを前に進めるには情熱や夢が必要で、挑戦することも欠かせない。そういうロジカルな部分とエモーショナルな部分がちょうど良い塩梅で混ざっているのがこの会社の特徴かなと思います。

ーーグリーグループの中でも、WFSは個性が強そうな印象を感じます。

井坂:グループって個別の会社が強いことが大前提だと僕は思っていて、それぞれが個性的で強みがあって、その強い者同士が横で交錯して新しい価値を生み出すというのがグループにとってすごく重要だと思っています。だからまずは僕らが強くならなきゃいけないし、色を出していく必要がある。グリーグループは会社ごとに事業体もカルチャーも異なります。WFSはテクノロジーとクリエイティブのカルチャーが強いですが、それぞれの会社の色を組み合わせたらもっと強くなれるのが真のグループ経営なんじゃないかなと。ぎゅっと小さく小分けにまとまるんじゃなくて、個々が強くて大きくてというのが理想ですね。

大事なのはWFSにしかできない価値を生み出すこと

ーーWFSならではのものづくりへのこだわりはありますか?

井坂:そうですね。たとえば海外展開一つをとっても、海外市場に合わせてキャラクターの服装や髪型を変えてカルチャライズするやり方もありますが、日本にいながらにして海外市場をすべて分かろうとするのはやっぱり無理だと思うんですよね。今はむしろ、その国独自の色が喜ばれる時代だと思うので、日本の色を全力で出して世界に打って出るスタンスを貫いています。僕たちがつくれる最高のものはこれだ!という想いを持って届けていくことですね。

ーーそういう想いがすべてのプロダクトに詰まっているんですね。

井坂:オリジナルだけでなく既存アニメのゲーム化など他社のIPも手がけていますが、大事なのはWFSが関わって価値が出せるかだと思っています。他社のIPは特に、原作をリスペクトしつつ「WFSがゲーム化するならこういう仕組みや色合いが良いと思う」という考え方を持つことですね。関わる以上はしっかり自社の色も出すべきだと。あと、強い個性が集まってこそいいものづくりができると思っているので、個を大事にしたうえでチームをどうするかというのはすごく考えています。絵を描く人、シナリオを書く人、音楽をつくる人、言語翻訳をする人など国籍含め多様な組織なので、目指すことは共通化し、それに対して個をどう生かすかは意識しています。

ーー今後WFSをどんな会社にしていきたいですか?

井坂:ビジョンや設立趣意に沿っていくのはこれからも変わりませんが、手法や戦略は時代によって変わる前提で、向かうところだけを変えないというのが大事ですね。スピードをどう速めていくかというテーマはまだ全然やり様があると思っていて、一社だけでできることもあればどこかと一緒にできることもあるし、日本だけではなく海外の会社も視野に入れて、WFSとして大事に持つ部分と他社と一緒にやったほうがいい部分を考えながら何度でも挑戦していきたいと思います。

ただのベンチャーでも大企業とも違う“グリーグループらしさ”

ーー井坂さんが思うグリーグループの強みとは?

井坂:最新テクノロジーの話からクリエイターマネジメントやコンテンツのこと、あるいはベンチャーへの投資から大企業との提携まで、幅広く議論できるというところでしょうね。テクノロジーとクリエイティブの話が混在したまま会話ができるのは、普通はなかなか難しいことだと思うんです。文化や業種を越えた人たちとの対話力や理解力、経験値の蓄積はグリーグループの強みなんじゃないかな。特にベンチャー期からいる僕としては、ベンチャーならではの強みが分かる一方、会社はある規模まで行くと財務基盤を生かしたり、システム化したりシナジーを生み出したり、“大人”の戦い方があることも分かって、そのうえで何を選択するのかという一段上の議論ができるようになってきたのが、ベンチャーでもなく大企業とも違う今のグリーグループならではなのかなって思います。

ーーどんな時にグリーグループの強みを実感しますか?

井坂:外部の方と話す時ですかね。直近だとゲーム業界ではない会社の方からアプリをつくってほしいというお話があっていろいろとお悩みを聞いていたら、ゲーム開発の技術やデジタルマーケティング、データ分析やユーザーを楽しませるノウハウなど、そういうものって異業種にとってはすごい価値のあることだと思われているみたいで。それで僕らの培ってきたノウハウとかを外部に提供したらもっと新しい驚きが提供できるのでは?とヒントを得たのがきっかけで、WFSでは新たにソリューション事業を始めています。異業種の方でも寄り添って話が聞けて、課題を発見しその解決案がグループとして提供できるというところは強いなと。

ーー今後グリーグループをどんな組織にしていきたいですか?

井坂:僕が入社した時に比べて、良い具合に成熟してきましたよね。WFSのコンテンツ事業などはどの時間軸で区切って見るかで相当変わるビジネスなんです。昔は3ヶ月から半年とかで成果が見えていましたが、今やっているものの成果が見えるのって早くて2~3年後くらいなので、仮に5〜10年位のスパンで区切った時に「未来見据えてやってた会社なんだな」って後から思われるようにしたいですね。

ーーグリーが成熟してきたとありますが、この13年で田中さんの印象も変わりましたか。

井坂:立ち振る舞い含めて表面的な印象はもちろん変わりましたが、巡り巡って変わってないんじゃないかなと。巡り巡ってという部分に色々な物語がありますが、僕が入社した時は「GREE」という田中自身が創り出したサービスに全身全霊をかけて取り組んでいて、今はグリーグループという視点で全身全霊をかけて事業やサービスを考え続けてるだろうなと思います。

世界中の人たちの毎日を「より良く」するために

ーー「これを成し遂げたい!」というご自身の野望みたいなものはありますか?

井坂:何かをつくって世の中にインパクトを与えたい、新しい驚きを世界中に届けたいというWFSの共通価値観を持っていますが、個人としてこれと決めているものはないですね。強いて言うなら、目立たず静かにゲームをして暮らしたい(笑)。

ーー(笑)、ゲーム好きなのがよく分かりました。最近ハマっているゲームはありますか?

井坂:『Ghost of Tsushima (ゴースト・オブ・ツシマ)』というPS4のゲームが最近出たんですが(※取材日は7/22)、とても面白いからやったほうがいいです(笑)。鎌倉時代の元寇をベースにした世界観なんですが、日本の歴史の話なのに海外の会社がつくっており、時代劇映画の中で遊んでるような感覚になるんです。世界から見た日本的な情緒が最新鋭の技術で見事に表現されていて、敵が剣で切られて叫びながら死んでいくところとか、“いかにも”な感じが良い。おそらく黒澤監督の映画や時代劇を好きな人がつくったんだと思いますが、四季折々の情緒溢れる日本という美しい国で繰り広げられる最高のオープンワールド時代劇アクションアドベンチャーを楽しむことができる、おすすめの一本です。

ーーWFS社長として、今後チャレンジしたいことはありますか?

井坂:僕はビジネスプロデュース業を生業としてきていますが、最初はゲームシステムのプランナーからプロデュース、その延長線上から経営者へ片足を突っ込んだみたいな経歴なんですね。それで今の僕がプロデュースする対象は会社なので、WFSに所属するいろんなクリエイターたちを前面に押し出して、WFSの色というのを世の中に出していきたいと思っています。とにかく皆が前に出て活躍してくれるようやっていくだけですね。

ーー最後に、グリーグループを社会の中でどんな存在にしていきたいですか?

井坂:「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションを打ち出したのは創業者の田中ですが、僕もインターネットに魅了されてこの業界に入りました。既存の枠組みを壊して新しいものが生まれそう、世の中を変えられそうというワクワク感があり、今でこそインターネットが当たり前の世界になりましたが、WFSもインターネットを通じて世界中の人たちにコンテンツを届けています。
今回、コロナ渦で「自粛で家にいてつまらない」って言っていた人たちが、僕らがゲームを更新したり提供したりすると「コロナ渦でも楽しくなった!」とか、海外からも「Cool!」とメッセージをくれて、まさに「インターネットを通じて、世界をより良くしているんだ」というのを強く感じたんです。そのほんの一瞬が世の中にどれだけ影響しているかは分からないけれど、娯楽を楽しむというのは人間にしかできない楽しみだと思うんです。いろんなものがAIなどで自動化、最適化され、ロボットも活躍するようになってきたら、ますます娯楽が求められる時代になると思うので、そういう世界のなかで「一瞬」を提供できるのはすごく素敵なことだと思っています。「より良く」にはいろんなやり方があるけれど、僕らは感情を揺さぶる仕事をしているので、ほんの一瞬でいいんです。「あれ感動したな」とか「このアニメのシーン見て救われたな」とか、僕たちが創ったコンテンツやサービスを通じて世界をより良くしていきたいと願っているので、これからもずっとそれを続けていきたいです。

ーー井坂さん、本日はありがとうございました!



以上

前の記事
次の記事
公式ブログトップ

おすすめの記事