【新卒採用インタビュー】みんなが幸せになれるサービスを作りたい。いつもそれだけを考えてきた。

グリーグループが運営している5つのメディア(※1)を、開発部門のエンジニアリングマネージャーとして牽引する長谷川貴之さん。メディアに機械学習を取り入れ、スマートフォン時代に合わせた最適化を推し進めるなど、メディアの新たな姿を追求しています。
果たして、そこにはどんな想いがあるのでしょうか?長谷川さんのこれまでのキャリアや、思い描くメディアの未来像を聞きました。
※1 「MINE(マイン)」、「LIMIA(リミア)」、「ARINE(アリネ)」、「aumo(アウモ)」、「moguna(モグナ)※2」
※2 「moguna」はグリーライフスタイル株式会社が業務委託で運営

長谷川 貴之(はせがわ・たかゆき)
2013年新卒。グリーライフスタイル株式会社執行役員兼リミア株式会社App部シニアマネージャー。
メディア事業横断の開発部門の責任者として、経営や事業とプロダクト開発をつなぐ役割を担っている。学生時代は自然言語処理に関する研究を専攻し、国際学会で発表した経験を持つ。

“純粋な夢が、データエンジニアリングとの出会いにつながった”

ーー長谷川さんがエンジニアを目指したきっかけは、どんなことだったのでしょうか?


長谷川

長谷川:単純に、「IT企業ってかっこいい!」と思ったからです(笑)。そこで、高校のときに「どの学科に進めばIT企業に入れるか」を先生にお聞きして、情報工学科を目指しました。

でも、正直に言えば、自分の将来についてはまだ漠然とした気持ちでした。具体的に将来を考え始めたのは、大学3年生のとき。「そろそろ進路を決めないと」と考えて、ふと頭に浮かんだのがGoogleのすごさでした。

世界中のコンテンツを適切にランキングして、1秒以内で表示するという奇跡的なことが、今は普通に受け止められている。そこから徐々に、データエンジニアリングに興味を抱くようになりました。

ーー学生時代は、自然言語処理に関する研究を専攻されていたそうですが、これもデータエンジニアリングへの興味からでしょうか?


長谷川

長谷川:そうですね。機械学習は、「大量のデータからルールを導き出す」ということが基本です。そのデータを統合していく感覚が、自分が感じるおもしろさとリンクしたというのは大きかったですね。でも、「就職に役立つかもしれない」とは、まったく考えていませんでした。単純に自分がおもしろいと感じた研究テーマに、夢中になっていただけだったんです。

ーーグリーを就職先に選んだのは、どんな理由からでしょうか?


長谷川

長谷川:就職先を選ぶにあたって、最大のプライオリティは「インターネットサービスに強い会社」という点です。そこで、みずからインターネットサービスを立ち上げて、データで貢献したいという気持ちを持っていました。

とはいえ、あまりにも大きな企業では、歯車のひとつにしかなりません。また、海外企業の場合、日本でやることといえば、ローカライズがメインになることが多く、やりたいものづくりとは異なることになりがちです。日本の企業でインターネットに強く、ものづくりに意欲的な姿勢を持っているのはどこだろうか…。

そう考えたとき、自然とグリーへたどり着きました。

ーーグリーの特徴はどんなところですか?


長谷川

長谷川:適度に大きい会社ということは重要でしょうね。大企業はお金がありますが、エンジニアには裁量は与えられません。逆に、ベンチャーなら裁量は与えられますが、小規模で作れるものにも限界があります。

グリーは裁量がある上に、ある程度の規模があるので、プロジェクトに割ける人数もお金も十分にあります。

つまり、やりたいと思うことが実現できる。それがグリーのいいところですね。

“メディア+機械学習という未来は、必ずやって来る”

ーー長谷川さんはグリーに入社後、チャットサービスやビッグデータ基盤の構築を手掛け、現在はメディア事業を手掛けていらっしゃいますね。その経緯を聞かせてください。


長谷川

長谷川:チャットサービスもビッグデータ基盤も、いわばインフラ的な仕事です。自分の中では、「いずれはインターネットサービスを手掛けたい」と、常々思っていました。そこへ、同期がメディアを立ち上げるということで誘われたことがきっかけです。

メディアは、記事や投稿もユーザーのログといったデータが蓄積されていく性質を持っていますから、自分が学んできた機械学習とは相性がいいんです。また当時、同学年のエンジニアたちが、メディア+機械学習で活躍し始めていた時期でしたから、いずれ自分の経験が役立つ時が来ると確信していました。

ーーいち早く「ARINE(アリネ)」の編成をアルゴリズム化されましたが、メディアに機械学習を取り入れることについて、社内の反応はいかがでしたか?


長谷川

長谷川:そもそも、田中(グリー株式会社 代表取締役会長兼社長 田中良和)も機械学習に理解があり、「早くメディアに取り入れよう」という話はよくしていたんです。でも、田中に提案する以前から、実は独自に下準備を進めていました。

さすがに自分一人では難しい部分があったのですが、機械学習に詳しい同期に将来の構想を語っていたら、ぜひ一緒にやりたいと言ってもらえました。もし、機械学習が導入されなかったら…という不安はありました。ですが、「絶対、メディア+機械学習という未来はやって来る!」という自信のほうが強かったですね。

ーーメディア+機械学習の強みとは、どんなところだと思いますか?


長谷川

長谷川:ユーザーに対してパーソナライズできることに関しては、機械学習が優れている点だと思います。例えば、本はすべての読者に、同じ情報しか提供できません。年代や好みに合わせて情報を届けたいと思ったら、それぞれに合わせた別な本を作るしかありませんでした。

ですが、機械学習でパーソナライズしたメディアなら、ユーザーごとに適した情報を提示することが可能になります。ユーザーにとっての「自分だけのメディア」を提供できるという点は、非常におもしろいと感じました。

“効率化と個性のバランスを見極めること”

ーー現在は、開発部門のエンジニアリングマネージャーとして5つのメディアを手掛けられていますが、初めはどのような流れで進められたのでしょうか?


長谷川

長谷川:「ARINE」と「moguna(モグナ)」を例にとりますと、それぞれプロジェクトのマネジメントについても考え方は違っていました。そこからすり合わせを始めまして、開発リソースの効率化を進めていきました。

当時の状況を振り返ると、「ARINE」は「moguna」よりも歴史が古く、その分、機能も充実していたんです。そのため、「moguna」の機能を「ARINE」レベルにまで引き上げるには、さらに多くのリソースや時間も必要になります。そこで、「moguna」を開発してきた方々の気持ちも踏まえた上で、僕独自の判断で「ARINE」の機能を「moguna」に移植することを決めました。

ーー移植にあたっては、どんな苦労がありましたか?また、その結果、得られたものは何でしょうか。


長谷川

長谷川:元々、共通性のあるメディアではありませんから、無理矢理組み込むようなものでしたね。まず、「ARINE」については僕自身が一番詳しいので、「moguna」のコードを読んでコア部分の移植までを担当しました。あとは人海戦術で、ウェブページをすべて再実装しました。

本当にたいへんでしたが、今は共通化して本当に良かったと実感しています。まず、共通のソースコードを使っていることで、社内で異動があった場合でもスムーズに対応できます。また、1つのメディアで効率的だった機能が、そのまま他のメディアに使えるということも大きなメリットでしたね。5つのメディアを運営するにあたって、この経験がいきていると思います。

ーー5つのメディアのエンジニアリングマネージャーとして、今後は、どのような展開をされていく予定でしょうか?


長谷川

長谷川:現在は、5つメディアがあることをいかして、それぞれ異なる機能を試験的に導入することを進めています。最終的に成功した機能を共通化する、という考え方ですね。これは、グリーがウェブゲーム時代に培った考え方と同じです。同時にさまざまなゲームを稼働させて、うまくいったことを取り入れていく。それを、メディアでも取り入れたということです。

ただ、共通化を進めすぎると、各メディアの特徴が薄れて自由度が減ってしまいますから、バランスは重要だと思います。どこまで共通化すべきかという点は、常に考え続けなければならないでしょうね。

ーーメディア事業への取り組みが評価され、FY19(2019年度)下半期全社MVP CEO賞を受賞されましたが、率直な気持ちを聞かせてください。


長谷川

長谷川:素直にうれしいです。ただ、僕個人としては社内の賞をもらうよりも、たくさんの人に自分のサービスを使ってもらえるほうがうれしいですね(笑)。

全社MVP CEO賞受賞時に笑顔を見せる長谷川

ーー現在手掛けているメディアを、どのように発展させていきたいですか?


長谷川

長谷川:スマートフォン時代における、バーティカルメディア(※3)という戦略を推し進めていきたいと考えています。

美容系サイトという観点でいえば、現在でもPCユーザーを主体としたサイトが中心ですが、Instagramに代表されるように、スマートフォンアプリを起点として、大きなプラットフォームになることも珍しくはない時代になりました。

我々もスマートフォンに適したメディアを突き詰めることで、より時代のニーズに合ったサービスを提供できるのではないかと思っています。

※3 特定の分野に特化した話題を深く掘り下げ、情報発信を行うメディアのこと。「特化型メディア」とも呼ばれる。

“インターネットに夢中だったから、今の自分がある”

ーー2019年5月にグリーライフスタイル株式会社の執行役員に就任されましたが、ご自身の中でどんな変化がありましたか?


長谷川

長谷川:「ARINE」だけを手掛けていた時代であれば、単純に自分ががんばれば、良いサービスにすることができました。ただ、いくら個人ががんばったとしても、組織の中では限界があります。現在は経営側に回ったことで、組織として実現するという点に視点が変わりました。

今までマネジメントの経験はまったくなかったのですが、江川(グリーライフスタイル株式会社代表 江川嗣政)が、事あるごとにマネジメントについてレクチャーしてくれたことは大きいですね。1年間にわたってマネジメントや経営について教わり、組織としての考え方にシフトしました。

ーーグリーライフスタイルの雰囲気を聞かせてください。


長谷川

長谷川:江川の経営的視点や人柄がよく表れている、とても仕事がしやすい環境です。私にとっては、同期の信頼できるスタッフが中核にいることも心強いですね。例えば、組織づくりでいえば、同期の高原(知哉)が、ずば抜けた力を持っています。彼の影響力が、組織力につながっているといえるでしょう。そして開発面でも、同期のエンジニア二人が中心となって、すばらしいサービスを提供している。今、グリーライフスタイルが持っている開発力は、他メディアの中でも群を抜いていると自負しています。

一方で僕は、マネージャーとして彼らを評価しなければいけないという立場ですから、ただ心地良い環境を作るだけではダメだと思っています。評価は徹底的にフェアに、MBO(目標管理)も人事考課もしっかりやる。その上で友達関係を崩さないように…という点についても気を使っています(笑)。

ーーどんな「夢中」を極めたことで、現在の自分があると思いますか?


長谷川

長谷川:「インターネットが好き」ということに尽きると思います。エンジニアって、趣味としてもプログラムを手掛ける方が多いのですが、僕も土日に趣味でプログラムをする時間が楽しいですね。休みの日もプログラムにふれているのは、家族にとっては迷惑かもしれませんが(笑)。

とはいえ、好きだからこそ機械学習も夢中で学ぶことができましたし、現在手掛けているメディア事業に関しても、インターネットサービスが軸。だからこそ、毎日楽しんで開発に取り組むことができています。

ーー未来に成し遂げたい夢や、実現したいことを聞かせてください。


長谷川

長谷川:みんなが幸せになれるようなサービスを世に送り出していきたい。それが今までずっと考えてきたことだし、一番の夢ですね。例えば、美容に関して何かを調べたい!と思ったときに、「ARINE」であれば信頼できる情報があり、気にいったコスメの購入やサロンの予約ができる。美容と言えば「ARINE」と言った具合に、自然と「ARINE」が使われて、女性が自身の理想や夢に近づく手助けができていたら嬉しいです。時代が変わって、スマホから違うデバイスに変わったとしても、そのようなサービスをずっと作り続けていると思います。

ーー最後に、グリーを志望する学生さんにアドバイスをお願いします。


長谷川

長谷川:まずは、基礎力を磨くことです。何かを作りたいと思ったとき、基礎力がなければ何もできません。

コンピューターサイエンスをしっかり学び、その上で実際にサービスを作ってみるのもいいでしょうね。自分が作ったサービスをユーザーに提供し、どんな反応を見せてくれるのか。それは貴重な体験です。

自分が成長するだけではなく、きっとこれまでにない楽しさが感じられると思います。

本件に関するお問い合わせ先