会社のこと

【Management Voice】#04 藤本 真樹「大切なことをぶらさない」

グリーグループの役員に、事業や個人のことなどをインタビューする本企画。第4回は、グリーCTOの藤本真樹さんです。

【プロフィール】
グリー株式会社 取締役 上級執行役員 最高技術責任者
藤本 真樹

2001年、上智大学文学部を卒業後、株式会社アストラザスタジオを経て、2003年1月有限会社テューンビズに入社。PHP等のオープンソースプロジェクトに参画しており、オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティング等を担当。2004年のグリーの立ち上げから参加し、2005年6月、グリー株式会社 取締役に就任。

グリーとの出会い

ーー藤本さんがグリーで働くことになったきっかけを教えてください。

藤本:大学卒業後に就職した会社でプログラミングをしながら当時オープンソースソフトウェアのコミュニティ活動をしまして、そこで知り合った人に誘われて転職したんです。その転職先が当時田中がいた会社の仕事を請け負っていて、それを通じて田中と知り合ったのがきっかけです。あー、あの仕事さえしていなければなぁ…(笑)。それで、田中がその会社を辞めてグリーを立ち上げようという時に「ご飯食べようよ」と誘われたので、焼き肉を食べに行ったら本格的に巻き込まれました。何の誇張もなく、巻き込まれた(笑)。それが多分2004年の冬で、まだオフィスもなかった頃ですね。

ーー一番大変だったことは何ですか?

藤本:大変なことだらけですよ(笑)。というより大変じゃないこと、楽なことばかりをやっていてもしょうがないというかね。プログラミングをやっている時ってとにかく楽しいけれど、何かしらチャレンジしなきゃいけないと思うし、これ本当にできるかな、うまくいくかなという不安も常にあります。でも会社としては今もまだまだなところはあるから、もっと成長していかなきゃいけない。それは今日明日でどうこうできることではなくて、目指すところまで諦めずにやり続けるしかないんだと思います。

ーーご自身にとって田中さんはどんな方ですか?

藤本:プロダクトの人ですかね。「こういうものをつくりたいんだ」という強いこだわりがあって、あくなき執念というか多分今でもまだ全然満足していなくて、理屈を超えた何かというか。あの執念とかは僕には絶対無理(笑)。

将来生き抜くための力を今磨く

ーー管掌部門である開発本部の役割やミッションを教えてください。

藤本:グリーの開発本部には、グリーグループの各事業の土台となる開発機能が集まっています。インフラストラクチャ部、ExPlay事業部、Customer & Product Satisfaction部、 GREE Platform部、情報システム部、セキュリティ部、データテクノロジーグループ、フロントエンドデザイングループ、そして開発企画部などいろんな組織があって、基本的にグループのどの事業にも関わっています。ミッションは、「技術で事業に貢献する」というのをずっと掲げています。昔はエンジニアしかいなかったので「技術=エンジニアリング」というイメージだったけれど、たとえばQAという仕事にも技術、技能が必要なように、それぞれの価値を高めていき事業の役に立って、その結果として事業が伸びたら嬉しいよねという考え方をしています。事業側が本来の仕事に集中できるように自分たちが頑張るというスタンスです。

ーーどんな組織を目指していますか?

藤本:プロダクトやサービスなど運用しているものはたくさんありますが、本質としてはチームや人としての価値を高め続けていくことが大事だと思っています。開発本部の機能は似たような仕事が他社にもよくあるのが1つの特徴で、だとしたら他社と比較しても遜色ない、あるいはもっと良い集団になれるようにというのは常に考えているし、目指しているところですね。事業側から見て「うちじゃなくてあっちの会社のほうが優れている」と思われたら普通に悔しいし、「他社より優れているし事業のスピードも上がっている」という状態にしていたい。止まったら負けだし終わりもないので、常に上を目指し続けるしかないですね。その基盤となるのはやっぱりひとりひとりの能力で、例えばマネージャーはマネジメントを、スペシャリストは専門性を突き詰めていってほしいと思っています。それは会社のために、ではなくても全然よくて、自分が将来ちゃんと生き残れるために成長してほしい。その結果パフォーマンスが上がったら会社としても個人としてもすごく嬉しいしとても良いことなんじゃないかなと思います。

ーー会社ありきでなく、まずは個人の成長を考えてほしいと。

藤本:もちろん好きなプロダクトやチームのために頑張るというのは忘れて欲しくないことだけれど、その手前でまず自分が成長してできることが増えるようになるとか、もっと仕事の精度が上がるとかそういうのをしっかり考えてほしいなぁと。今20代だったとしてこの先40年、50年働き続けるんだから、どうやって生き抜いていくか、個人としての能力をシビアに見つめてほしいと思います。

ーーメンバーたちに伝えていることはありますか?

藤本:「こうなりたい」というイメージやビジョンを常に意識してほしいと話しています。年に一度、開発本部直下の各マネージャー陣が集まって合宿をやるのですが、「1年前の『こうなりたい』がどうなったか」と「1年後に自分やチームが『どうなりたいか』」をじっくり考えてもらいます。こうするんだ、こうなるんだというクリアなイメージがないと、どこにも行けないと思うんですよね。難しいことだけれど、一人ひとりに考え続けてほしい。それがプロフェッショナルとして成長することや価値を出すことにつながると思うし、“pay it forward”という考え方があるように、先にいろいろやっておけば、後できっといいことがあるはずだから。そういう気持ちを持って働いてほしいですね。

エンジニアが発信することの重要性

ーー9/18に初めてオンラインでテックカンファレンスが行われました。開催の経緯や目的を教えてください。

藤本:基本ノリと勢いなんだけど(笑)、いくつかある目的の一つはエンジニアが外に向けて発信する機会を持つことです。普段は皆プロとして仕事をし、会社に貢献してくれていますが、一個人の人生やキャリアという観点で考えると、もっともっと価値を高めてほしいわけです。そのためには刺激を受けたり勉強したりするきっかけが必要で、こういう場を提供して自分の名前で発表をしてもらうことは個人にとっても会社にとってもプラスになるんじゃないかと考えています。外の人に「面白そう」と思ってもらえれば採用に良い影響があるかもしれないし、社外はもちろん社内の人たちも「こんなのやってるんだ、すごいじゃん」って思ってくれたら嬉しいなぁと。

ーー当日はさまざまなテーマの発表があり、どれも社員さんの個性が出ていて面白かったです。

藤本:テックカンファレンスもエンジニアブログに記事を投稿してもらうことも同じ意味合いがあって、人間って締め切りがあったりなど何かのきっかけがあると頑張れたりするじゃないですか。夏休みの宿題に締め切りがなかったら、皆やりますか?って話で(笑)。まあそういうことを抜きにしても、「俺こんなことをやってるんだぜ」と大きな声で言えるくらいの仕事を常にやっていってほしいなと思っています。実際に開催してみてみんな大変そうだったけど楽しそうで、やってよかったなって思います。来年以降も毎年続けていきたいですね。

好きだからチャレンジできる

ーーご自身にとって「良いエンジニア」の条件とは?

藤本:まずはソフトウェアをつくるのが好きで楽しいと思えることですね。一生勉強し続けないといけない仕事なので、そういう気持ちがないと続かないんじゃないかな。好きというのは新しいことにチャレンジするという意味でも欠かせない要素だと思います。あとは、ちゃんと議論ができること。言い争うとかではなくて、自分の意見と他者の意見を同じ地平で捉えられるというか。エンジニアの議論って永遠に決着つかないテーマが多いので、「どっちになってもいいけれどどうする?」という状況の時に、「絶対こっちだ!」みたいなスタンスだと議論が進まないんですね。だから、「君の意見はこうで僕の意見はこうで、チームとして目指す方向はこっちで、じゃあこっちじゃない?」とフラットに話ができることが大事だと思ってます。あとは「なぜこれはこんな風に動いているのか?」や、「もっと良いやり方はないか?」と突き詰めて考えようとすることかな。そういう前向きな気持ちがあって、もっと上手く(コードを)書けるようになりたいと思って学び続けている人は素敵だなと思います。

ーーグリーグループでエンジニアとして働く醍醐味を教えてください。

藤本:えーと、面白い人がたくさんいます(笑)。たとえばゲームとメディアのエンジニアは技術的に違うところはありますが、同じエンジニアとしてフラットに学び合えるところもあると思いますし。最近毎年開催しているLightning Talk大会(LT大会)にはグリーグループのエンジニアが集まるんですが、いつも盛り上がって楽しいですよ。でも今年は(コロナ禍で)開催難しいかなー。何にしても、これから何十年とエンジニアとして生き抜いていくぜ!という人にとって良い環境でありたいと思っているので、皆さんぜひ来てください(笑)。

どうせやるなら楽しくしたい

ーーこれまでのグリーグループの変化をどう感じていますか?

藤本:人数が増えて、オフィスが変わって、事業が増えて、外部環境が変わって、技術が進化して、変化はたくさんありますね。自分たちも少しは成長できたかなと思う一方、今度「FailCon」という失敗について話すカンファレンスに出るんですが、振り返ってみるともう失敗の歴史です。うまくできたなって心から思えることって、僕としてはほとんどない気がします。僕自身会社からMVPもらったことないし(笑)、本当の意味で満足したことは1個もないかもしれないですね。

ーー藤本さんはいつも自然体でフラットに向き合ってくださる印象があります。

藤本:たまに立場を意識しないでしゃべって怒られることがあるんだけど(笑)、どこで何をしても取締役やCTOとして見られるので、そういう立場としてどうかを考えてふるまうようにはしています。これは社員にも言えることですが、グリーグループにいる以上、社員として恥じることのないふるまいを、というと何だか大げさですね(笑)。でもこれは自身も含めて大事なことで、一緒にいてストレスがないとか、楽しいって思ってもらえるようにというのは意識したいことですよね。

ーー相手の気持ちを考えるということでしょうか。

藤本:昔、多面評価で「行間を読め」って書かれたことがあって(笑)、自分が話すことやふるまい、決めたことや伝え方などを相手がどう捉えるかをなるべく広くイメージすることって大事ですよね。それができないと自分がやりたいことができないし、伝えたいことが伝わらない。だから何かを始めたり話したりするときは、「この人はこう感じるだろうな」というのを想像するようにしています。人が増えていくと全部をそうするのは難しいけれど、自分の意思決定を相手がどう受け止めるかが全くわからないままやるよりは、ディテールを想像して理解したいと常に思っています。

自分の価値を磨き続ける

ーー今後グリーグループとして大切にしていきたいことはありますか?

藤本:ビジョンを描いて、そこにたどりつくために3年、5年単位くらいで積み重ねていくというのを大事にしたいです。ガラッと何かを変えたり新しいことを始めたりというよりは、今大事にしているもの、それはプロダクトでありユーザーの皆さんでありサービスであり、そういうものを大切にしていくぞ、つくっていくぞというど真ん中にある想いをぶらさずに次の段階に向かって成長していきたいです。
グループが大きくなり、会社も分かれていて、まだカルチャーも確立しきってはいないし会社としても成熟しきっているわけではないので、自分たちの大切なものを見失わないようにしながら、グリーグループの良い形ってどんなんだろう?というのを考え続けていきたいなと思います。ミッションもビジョンもこれからも変えないし変わらないけど、目指すところに向かってより速くより高く伸びていくために、もっとこういうことしようとかは常に考えていきたいですね。って普通なこと過ぎて何かつまらないか(笑)。

ーー最後に、ご自身のビジョンをお聞かせください。

藤本:15年CTOを続けてきていつまでやれるのかなとか思ったりしますが、「取締役」とか「CTO」というタイトルに固執することは絶対にあってはいけないと思っています。会社にしがみついて他に行くにも行けないみたいな状態になるのは僕自身が許せないし。なので、どこで働くにせよ、その会社にずっとのんびりと居られる、前提で何かを考えるのはだめだと思ってるんです。それはチームのみんなや会社に誠実ではないし、みんなにも、他社に行ったら価値を発揮できない、転職できないような人にはなってほしくない。それは等しく自身にも言えることですが、他社でも働けるけれど、グリーがいいからここで働きたいと思ってほしいですね。自分が会社に提供できる価値は何かを考え続けながらちょっとずつでも成長していかなきゃって思います。

ーー藤本さん、本日はありがとうございました!

以上

前の記事
次の記事
公式ブログトップ

おすすめの記事