新卒エンジニアがCTOに突撃。グリーグループの技術と人間力のルーツに迫る!

11月11日、今年で第2回目となる『GREE Tech Conference 2021』(以下、『Tech Con』)が開催されます。中には新卒2年目の若手エンジニアも多数登壇予定です。今回はその中からメインセッションに登壇予定の20卒社員3名とCTOの藤本で対談を実施。大先輩であるCTOに向けて、グリーグループでエンジニアとして働く上で感じる課題や疑問などを率直にぶつけてもらいました。


藤本藤本 真樹:グリー株式会社 取締役 上級執行役員 最高技術責任者(CTO)
大学卒業後、PHP等のオープンソースプロジェクトに参画し、オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティング等を担当。その後2004年にグリーの立ち上げから参加し、2005年6月、同社取締役に就任。2021年9月、デジタル庁CTOに就任。

木村木村:グリーライフスタイル株式会社 プロダクト開発部メディア開発グループエンジニアリングチーム
2020年新卒入社。入社後はグリーライフスタイル株式会社で『LIMIA』のサーバーサイドエンジニアを担当。プロダクトマネージャーとしてフレームワークの移行プロジェクトなども担当。


小松

小松:Glossom株式会社 プロダクト開発本部 デジマ部事業会社支援グループ 事業会社支援チーム
2020年新卒入社。入社後はGlossom株式会社で主に大手出版社の週刊誌のWeb版開発に従事。社内業務効率化ツールの開発・保守なども担当。


伊藤

伊藤:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部エンジニアリンググループサーバーチーム
2020年新卒入社。入社後はREALITY株式会社でバーチャルライブ配信アプリ『REALITY』のサーバーサイドエンジニアを担当。サービス改善や新規機能開発のPM業務なども担う。

エンジニアの仕事は学び続けて興味を持つこと

藤本藤本:物理的に会うのは採用の最終面接以来の人もいるかな。みんなの個人チャンネル(※1)は確認しているので割と分かりますが、改めてそれぞれ今どんなことをしてるのか教えてください!

※1:グループ内コミュニケーションツールのSlack上で、個々人が任意に設立しているチャンネル。日々の業務内容や趣味についてなど、投稿内容はさまざま。

木村木村:個人チャンネル、見てもらっているんですね(笑)。僕はグリーライフスタイル社で運営する『LIMIA』のサーバーサイドエンジニアですが、直近ではプロダクトマネージャー(以下、PM)としてフレームワークの移行プロジェクトをメインで担当していてます。移行プロジェクトではサーバーサイドだけでなく、フロントエンドやインフラなどを含めたアプリケーション全体を見ています。


小松

小松:私はGlossomで、Webサービスの受託開発を担当しています。その中でも現在はある週刊誌のWeb版の開発に関わっていて、やりがいがあった業務の一つにRuby on Rails製のサービスへのGIGYAというサードパーティ製認証基盤の導入があります。これはグループ内でも前例がなく、ネット上で調べてもあまり事例が見つからなかったのですが、私がメインでたたき台を作ってそれを各所と調整する、という形で進めていきました。


伊藤

伊藤:私は『REALITY』のサーバーサイドエンジニアですが、それだけではなく品質改善施策のPMやインターンのメンターなど、役割を超えて幅広く担当しています。例えば、「アプリ起動時間の短縮化」は、実際にどう改善したら早くなるのかエンジニアリングの知識がないと分からないことなので、PMとして仕様から書くなど、領域を超えた働き方となっていますね。

藤本藤本:みんな主務としてはバックエンドだけど、フロントエンドやPMまで幅広く担当していて頼もしいですね。「サーバーサイドだからクライアントのことは知らない」ではなく、エンジニアなら知識としても知っておくべきだと思うし、業務としても自分の領域はどんどん超えていくべきだと常々思っているので。

木村木村:藤本さんとは、最終面接ですごく気軽に話せたことをよく覚えています。いろんな質問をされたり、雑談だったり。



伊藤

伊藤:私の面接の時は「インターネットってどうやって動いてるかわかる?」って聞かれましたね。「ぜんぜんわかんないや」と思って(笑)。

藤本藤本:聞くのは楽だけど答えるのは大変系の質問だね。確かにしたかも(笑)。仕事でお金をもらってエンジニアをやるのは、アマチュアや趣味とも違うから、分からないことを学ぶのに抵抗がなかったり、興味をもって臨めたりっていうのは大事なことだと思うんですよ。そういうのを楽しいと思える人かどうか確認してた感じですね。


小松

小松:それは入社してから実感したことではありますね。エンジニアに限らず、同期のみんなから自分で問題を解決しようとする気概をすごく感じますね。学生の時って課題が出ても真面目に動くのは1人か2人だけだったけど、そうならずにちゃんと動く人たちがグリーには集められてることや、その集団の一人になれたことに感動しました。

入社から1年。グリーグループのエンジニアとして働くって?

藤本藤本:みんなが入社してから、もう1年少し経ったけど、改めて振り返るとどうですか?

木村木村:言えばなんでもやらせてもらえる、という環境だったのは良かったですね。誰でも意見を言える雰囲気があるのはもちろん、それが正しければ採用してもらえるし、幅広く挑戦させてもらえています。僕は技術が好きで、「こういうことがやりたい」という思いは強い方なので、そこはすごく合っているなと思います。


小松

小松:私はこの1年を振り返って、コーディング作業というのはエンジニア業務のあくまで一部だったんだとすごく感じました。それ以上に重要なのは仕様を決めること。クライアントさまの要望通りの仕様をただ実装するのではなく、やりたいことをヒアリングして分解し、要望を実現するためのより良い仕様を提案することもエンジニアの仕事だと実感しました。対価をいただいてやる仕事ってこういうことなんだと。



伊藤

伊藤:私はWeb自体が未経験だったので、最初の3~4カ月はひたすら勉強していました。サーバーとは一体何なのかというところから、コードやアプリケーションを学んでいったら、少しずつ学生のときの研究との関連が見えてきました。学生時代はモーターを速くする研究をしていたんですが、計測してボトルネックを見つけて改善して速くするという流れは同じだったんです。それで仕事がだんだん楽しくなってきましたね。その後自発的にPMに挑戦したことや、今回の『Tech Con』での発表の機会なども、成長フェーズに入れてるのかなと思います。

木村木村:僕も研究対象は画像処理などだったので、領域としては現在の業務とかなり異なりますが、常にボトルネックを探りにいく姿勢など、学生時代に培ったノウハウは生きていると思いますね。入社当時は、「ものづくり」にあまり興味がなかったんですが、Web制作を通じてその面白みに気づいたので、今の配属は自分にとってすごくよかったです。

藤本藤本:そうおっしゃっていただけると採用した身としてはありがたい。新卒入社後の配属先は皆さんの希望を聞きつつ、2~3年後にはその人のプラスになるようにと考えています。当然、配属先は需要と供給もあるけれど、最終的には一緒に働く人の影響が一番大きいよね。

CTOがエンジニアとして大事にしていること


伊藤

伊藤:先輩エンジニアに聞くとREALITYの立ち上げ当初、藤本さんがエンジニアマネージャーだった際に、評価目標を設定してくれてとても助かったって言ってたんです。部下のエンジニアの評価や育て方について、どういう目線で見てますか?


藤本藤本:これ真面目に話したらめっちゃ長くなるやつじゃん(笑)。…まぁ、エンジニアとして会社に依存せずに戦っていける人になってほしいという気持ちはありますね。やはり「ここにいても成長しない」「自分の市場価値が上がらない」と思ったら、みんな辞めてしまうと思うから。だから「僕から見て君は今エンジニアとしてこういう状態で、将来的にはこういうところへ向かえるんじゃないか」って道筋を示してあげるのがマネージャーの役目だと思うんです。当然、会社と社員で要望にズレがある瞬間はあると思いますが、後に「やってよかった」って言われるのはすごくうれしいですよね。

木村木村:藤本さんが若かりし頃、そういう上司はいたんですか?

藤本藤本:全然いない。25歳くらいでこの会社に入って手伝い始めたけど、上司っていっても社長しかいないし、怒られたことはあったけど、評価されたことないな(笑)。基本的にチームのみんなに助けられたり怒られたりし続けて、何となく今に至ってる。だから、みんなもちゃんと先輩や上司にも思ったことは伝えていいと思うよ。


小松

小松:そういう意味では、結構何でも率直に話せる機会があると思います(笑)。 
エンジニアって働いたことの評価や実績の残し方が難しいんじゃないかと思うんですけど、どうですか?書いたコードの行数で評価するわけにもいかないし。

藤本藤本:確かにねー。もちろん色々軸はありつつ、個人的に大事にしているのは、上司だけでなく、周囲からの評価ですね。例えば同じチーム内で優秀だと思う人を上から何人教えてっていうと、実際のところそんなにずれてないことが多いんですよ。日々、チームの中でどれだけ貢献しているのかは意外と見られていて。なので、上の立場の人こそ、チームにとってそういう存在になれるように、周囲からの評価を大事にすべきだと思っています。


小松

小松:さっきの話にも繋がるんですけど、エンジニアにとって仕様や要望を分解して汲み取る力ってすごく大事だと思うんです。藤本さんは『GREE』を作っていた頃、(社長の)田中さんから「あれやって」といろいろ言われたと思うんですが、言われたものをそのままつくっても違うということもあるはずで...。そのあたりのヒアリングの仕方はどうしていたんですか?


藤本藤本:いやー、僕すごく良い採用したんじゃないかなー(笑)。本当その通りで、言われてそのままつくればいいってもんでもないし、そもそも相手もそれを期待してないっていうか。いつもお勧めしている『ライト、ついてますか—問題発見の人間学』(※2)っていう本があるんだけれど、ここに「問題とは何か?」という問いかけがあって、それを「あるべき状態と現状との差」と定義しているんですね。この視点は大事で、誰にとっての問題なのかっていうのを考えるとおのずと答えが見えてくる。

※2:ライト、ついてますか―問題発見の人間学 – 1987/10/25 ドナルド・C・ゴース (著), G.M.ワインバーグ (著), 木村 泉 (翻訳)


伊藤

伊藤:なるほど。

藤本藤本:少なくとも、僕らは上司のために働いているのではなく、ユーザーの皆さまや良質なプロダクトのために働いているので、そのためにミッションがある。問題解決は「誰にどうする」っていうポイントがズレていると、一所懸命頑張っても「そうじゃない」ってなるから。


小松

小松:現状との差分っていうのはなんとなく意識があったのですが「誰のため」っていう視点は新鮮です。

エンジニアとして成長するための場、GREE Tech Conference

藤本藤本:この3名は、「GREE Tech Conference 2021」に登壇してくれますがどんなことを話しますか?

木村木村:僕はフレームワーク移行プロジェクトをやり始めたときから、チーム内でもきちんと発表しようという話になってて、今回の登壇について実はやる気でいました。フレームワークの移行ってなかなか経験できない上に、機能開発を止めずに移行するという非常に難しい条件での移行だったのでぜひ話したいなと。コードの移行とインフラの移行を行ったのですが、『Tech Con』では機能開発を止めずに移行するためにいかにしてコード修正を自動化したかという点について話します!


小松
小松:私は、冒頭でお話した週刊誌のWeb版の開発で担当した業務の話を通じて、グリーグループには新人でも責任ある仕事を任せられ、成長できる文化があるということをお伝えします。私のチームでは、なるべく属人化を排除する一方で、状況に応じて最適な技術を選択できるよう引き出しも増やしていこうという姿勢で業務に取り組んでいますので、そのあたりを。


伊藤
伊藤:私は『REALITY』全体の品質改善の取り組みや、その一例である「アプリ起動時間の短縮化」について話します。エンジニア主体で企画からリリースまで遂行する流れや、その強みなどを説明できればと。『REALITY』のユニークな改善の実例など話せたら良いですね。

木村木村:学生時代の研究発表もそうですけど、入社してから藤本さん主導で実施していた新卒エンジニア研修での経験が生きていると思いますね。毎週1時間、新卒社員がそれぞれ持ち回りで技術について発表していたので、発表に対するハードルは下がったと思います。

藤本藤本:エンジニア研修では毎週話してもらったけど本当に個性が出てて面白かった。人前で何か話すことは、自分の価値を高めると思うんです。自分の言葉で話したほうが身になるし、実績として外にも出せるしね。僕はそのハードルをできるだけ下げよう思って、研修でもこのような取り組みを実施しています。みんなの『Tech Con』での発表も楽しみです。