スマートフォン向けアプリゲームも、近年では3Dでのグラフィックが目立つようになってきました。
これまで『アサルトリリィ Last Bullet』や『SINoALICEーシノアリスー』を世に送り出してきたポケラボでは未来に向けてどのような3D開発に挑戦しているのか、またそのために組織をどう変革しようとしているかをクリエイティブ部の3人に聞きました。
三浦:株式会社ポケラボ / ゲーム事業本部 / クリエイティブ部 部長
前職でゲーム開発のグラフィックデザイナーなどを経て、2012年にポケラボ入社。ポケラボ では複数タイトルのアートディレクターやメインキャラクターデザインを担当。直近では「SINoALICE ーシノアリスー」のアートディレクターを担当し、現在はクリエイティブ部部長としてポケラボのクリエイティブに関わる各機能チームの統括を行う。趣味は知らない土地を散策すること。
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下澤:株式会社ポケラボ / ゲーム事業本部 / クリエイティブ部 副部長
前職でコンシューマーの開発会社、オンラインゲームの開発会社を経て、2015年にポケラボ入社。入社後は複数タイトルの3Dモデリングやアニメーションを担当。直近では「SINoALICE ーシノアリスー」、「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」のアニメーションを担当し、現在はクリエイティブ部副部長及びデザイングループシニアマネージャーとしてデザインに関わる各チームの統括を行う。趣味は釣りや自転車、工作、買い物など多趣味に色々やってみること。
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國信:グリーエンターテインメント株式会社 / 開発本部 / 3D開発戦略グループ シニアマネージャー
※株式会社ポケラボ / ゲーム事業本部 / クリエイティブ部 / デザイングループ / Re:drive3Dチームと兼務
遊技機、コンシューマ、ソーシャルゲーム業界で各ロールを経て2022年にグリーエンターテインメント入社。2022年後期にポケラボ参画。直近では新規プロジェクトの演出領域を担う傍らで、グリーエンターテインメントでも新規開発に従事。2社間で3Dメンバーのマネジメントを担当し技術面でのビルドアップに努める。趣味は3Dプリンタ、三国志、キャンプなど。
3D開発の現状、駆け出しだからこその面白さ
ーーーポケラボが現在行っている3D開発について教えてください。
下澤:3Dゲームの開発に着手したのは2年ほど前になりまして、現在3Dを採用したゲームを2本開発中です。アニメが原作のものと、原作はあるけれど私たちのオリジナル要素が強いものの2本です。3Dでのゲーム開発を始めたのは、流行っているというのもありますが、それ以上にやはりゲームによっては2Dよりも3Dの方が合う場合もあるからです。3Dのゲームもつくれるようにすることで、表現の幅を広げたいと考えました。
國信:3Dだと画面が立体的になるので、表現方法のバリエーションが豊かになり、リソースとしての資産性が向上します。これまでに比べて拡張性が高く大規模開発にも耐えうるゲームになるというメリットがあります。
三浦:やりたいことに対して、さまざまなアプローチができるようになるのもいいですね。
下澤:これまで長く進めていた2D開発と同様、3Dも表現へのこだわりを持ってつくっています。ポケラボはフラットな組織だから個人に裁量があって、作業者というより1クリエイターとして濃い関わりができて、貢献している実感が湧きますね。
國信:ノウハウやスタジオとしてのスタイルがまだ確立しきっていないのも、1つの特徴ですよね。一人ひとりのアクションが持つ影響が大きいですし、敷いてあるレールの上をひたすら進んでいくのではなく、その根幹仕様を生み出す機会が多いことにやりがいも感じます。
ーーー國信さんは昨年の7月からグリーエンターテインメント株式会社での業務と兼務されていますが、ポケラボ クリエイティブ部の印象はどうですか?
國信:ポケラボのクリエイティブ部は挑戦的なことや楽しそうなこと、面白そうなことを、自分発信でやるのを後押ししてくれる雰囲気がありますね。風通しが良い文化を感じます。あとは、元気で勢いのある人が多いなと。(笑)
三浦:ものづくりに対する熱意を持った人を採用しているのもありますね。そういう人が「やりたい」と言うならば、できるだけチャレンジさせてあげたいと考えています。最近であれば、勉強会をやりたいという申し出があったので、「どんどん発信したらいいよ」という感じで後押しして。
國信:ただ3D開発については始めて日が浅いため、当たり前ですが経験の蓄積が不足しているのが課題ですね。技術的知見は多くのリファレンスが世の中にありますので一定量担保できますが、それらを用いて複合的な判断、つまりそのプロジェクトオリジナルでの判断を生み出す必要が出てきます。そのビルドアップが課題であり、目下取り組んでいますね。
下澤:國信さんはじめ、グリーエンターテインメントのメンバーが参画してくれたことで、応用が必要なケースバイケースでの判断力が向上しました。
組織体制の変革で次のフェーズへ向かう
ーーー今年の7月にクリエイティブ組織の体制を変更したと伺いましたが、その目的を教えてください。
三浦:元々クリエイティブ組織にはさまざまな職種の人が集まっていました。イラストを描く人やアニメーション、サウンドをつくる人、最近はその中でもアートワークやデザインに関わるメンバーが増えています。そういった中で、組織をコントロールする目的のもと元々その分野を取りまとめていた下澤を副部長、私が部長としてやっていくことになりました。今後クリエイティブ業界が急速に変化する中で、私たちにはさまざまな決断が求められるようになります。そこを下澤と助け合ってやっていく予定です。
また、ポケラボの10ヵ年計画を実現するために、「コンセプトアートチーム」を新たに発足しました。10ヵ年計画とは、ポケラボとして10年先にどういった組織になっているべきかを計画建てているもので、その中のチャレンジ要素の一つとして、自社IPを世に送り出したいというものが存在します。その第一歩がこのチーム組成になります。コンセプトアートチームは、新規タイトル開発に際し、キャラクターデザインや世界観・コンセプトアートなどゲームの指針となるビジュアルを生み出していく組織です。0から1を生み出すことのできる、その道のスペシャリストを社内から集め発足しました。既存タイトルにおいても新たな取り組みをする場合はこのチームが介入して、PDメンバーとともに指針固めを行うなど、絵づくりの軸となっています。
―――組織変革後、これからのクリエイティブ部をどのような組織にしていきたいと考えていますか?
下澤:自分たちのコンセプトをしっかり立て、そのコンセプトについては追随を許さない組織にしたいですね。そういう土台をつくっていきたいです。
常日頃から、「ユーザーの期待値を超えるものづくりをしよう」と周りのメンバーには言っています。期待値を超えるために必要なのは、絵の上手さなど技術面のクオリティだけではありません。ユーザーの皆さんはゲームを楽しむ時、「このキャラクターとこのキャラクターの関係性はどうなんだろう?」といった背景に興味を持たれます。我々がIPをよく理解したうえでユーザーが望む答えを出していくことが、期待値を超える方法の1つだと考えています。
三浦:今私たちがつくっているプロダクトは、アニメや漫画の原作があるものです。ユーザーが原作から得られる情報は限られているので、原作では描かれていないけれどユーザーが想像している「きっとこうだろうな」というキャラ同士の人間関係や裏のストーリーを届けたいです。キャラクターを原作通りに描いても100%でしかありません。そこに+αをして、120%にしていくことが期待値を超えることだと考えています。ユーザーの皆さんが本当に見たいものを叶えたいですね。
ポケラボの3D開発が目指す未来
ーーーポケラボのクリエイティブ組織の目標を教えてください。
三浦:私たちは「驚きが連鎖するクリエイティブ」という目標を掲げています。「ポケラボのこの先の作品にも期待してもらえる状況をクリエイティブでつくる」という意味です。その時々で良いプロダクトをつくって評価されて終わり、ではなく、次の作品が出る時にも「ポケラボがつくったものなら絶対面白い!」、そう期待していただけるように、驚きが連鎖していく状況をつくっていきたいですね。
ーーー今後の展望について、それぞれお考えのことを教えてください。
下澤:全員がクリエイターであり、全員がディレクターである組織を目指したいです。極論ですが、ディレクターがいる数だけゲームはつくることができますから、それくらいメンバーそれぞれが自分たちがつくるものに自信とプライドをもてる会社にしていきたいです。
三浦:私は「スルメのような作品」をユーザーに届けたいですね。近年はAIなどもあり、いい絵もたくさん出ています。でも、ただ美しいだけではなく、見るたびに新しい発見がある絵や、隠し味のあるアウトプットを出していきたいです。噛めば噛むほどおいしい、スルメみたいな作品をつくっていきたいです。
國信:私は、いわゆる「二次創作がはかどる」ゲームをつくりたいですね。原作では書ききれなかったところを描きたいです。ゲームは配給側なので、ユーザーにとってはある種「正解」になります。ですので、「正解」として王道でありながら予想を超えるものをつくりたいです。最終的には記憶に残る、ずっと心のなかに残り続けるようなゲームをつくりたいですね。
―――より成長を遂げるために、今後どのような人材が必要と考えていますか?
三浦:幸いなことに、今弊社には優秀な方が続々と入社してきています。また、元々所属していたメンバーも3D開発の技術を身に付けて成長しています。良いものをつくれる環境が整いつつあるので、そういった人材をまとめてパッケージしていく力を持っている方にぜひ仲間になっていただきたいですね。
下澤:一緒に働くメンバーに対して、こういった動き方をして欲しいんだ、こんな役割を求めているんだといった指示を明確に提示できる能力も必要だと思っています。制作現場のメンバーが迷いなくアクションを取れるように道標を示せる方が必要ですね。
國信:昔のゲームは、比較的簡単なつくりだったので、開発者が1人で何でもこなしていました。しかし今は複雑化していますので、分業でそれぞれの得意分野に集中するパターンが多いです。だからこそ、それぞれの技術や頑張りを正しく評価できる方を必要としています。
―――現在ポケラボを就業先として検討している方に対し、メッセージをお願いします。
三浦:ポケラボは、業務を自分事として邁進できる方が活躍できる場です。現在中心となって活躍しているディレクターには、入社時点ではゲームづくりの経験が少なかったメンバーもいるのですが、やりたいです!と手を挙げ、取り組む中で成長していきました。何かを実現したい!と意欲のある方を周りがサポートする風土もあるので、ぜひまずは選考にチャレンジしていただきたいです。
下澤:いつもみんなで話していることですよね。私を始めマネジメント層は、誰にこの仕事を任せるかと悩んだ時に、自ら手を挙げてくれる人にぜひチャンスを与えたいと考えています。ただ、そのチャンスが来た時に自信を持って手を挙げられる準備はしておいて欲しいです。例えば、3D開発に取り組みたいのであれば、日ごろから最新の情報や技術にキャッチアップしておくなど準備をしていることが望ましいですね。
三浦:そうですね。私たち3名は転職組ですが、下澤さんは現場から入って、リーダー、マネージャー、シニアマネージャー、副部長と一段一段階段を上がってきていますよね。
下澤:はい、ポケラボにきてからクリエイターとしてもビジネスパーソンとしてもすごく成長できた実感があります。クリエイターとしては、ポケラボは技術や情報が社内でオープンだったので上司や先輩から自身のアウトプットに対して具体的な修正点はもちろん、そこに至る考え方・ロジックも教えてもらい、クリエイターとしての引き出しに繋がりました。また、ビジネスパーソンとしては、あらゆる角度で入社以前と比較にならない程、自身の思考力が向上し成長出来たと感じています。
弊社はありがたいことに、よく求職者の方から「面接が楽しい」というお言葉もいただきます。少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひお互いにどんなことを考えているのかお話してみたいです。
國信:考えずに1回来て欲しい!っていうのが、本心ですね(笑)ものづくりに対する想いとか色々お話できればと思います。
三浦:そうですね。あとは、仲間になっていただく方が、「Will」を強く持てる方だったらなおうれしいです。「こういうものをつくりたい」「こういう表現をしたい」という明確な意志のある方、またそれを実現できる力のある方と一緒にものづくりをしていけたらいいなと考えています。